あなたもきっと心揺さぶられる。「ひきこもりの弟だった」葦舟ナツ 感想

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BOOKS

こんにちは!

今日もひきこもりたいAsh(アッシュ)@oborerublogです。

とんでもない作品に出会ってしまった。なんとも形容しがたい、葦舟ナツさんの「ひきこもりの弟だった」について語っていきます。

多少のネタバレはご容赦ください。

「ひきこもりの弟だった」とは?

メディアワークス文庫の第23回電撃小説大賞で選考委員特別奨励賞に輝いた作品。

葦舟ナツさんは本作がデビュー作だそう。

この本を手に取った理由はこの作品の帯が三秋縋さんの推薦文で

「この本を読んで何も感じなかったとしたら、それはある意味で、とても幸せなことだと思う。」

とあったから。

この言葉に恐ろしく惹かれてしまった。この本を読んだ後の自分がどんな気持ちでどんな感想を抱くのかが気になって購入。

ちなみに三秋縋さんの作品も個人的にとてもおすすめ。その中でも「恋する寄生虫」は至高。

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あらすじ

「質問が三つあります。彼女はいますか?煙草は吸いますか?最後に、あなたは——」

互いのことは何も知らないが、その質問だけで千草と啓太は夫婦になる。

突然始まった夫婦生活の中で啓太は思う——大嫌いな母、心を許せた親友、そして人生を壊した”ひきこもり”の兄と過ごした日々を。

構成のおもしろさ

この作品の特徴の一つに構成の独特さがあります。

現在、過去、現在、過去、——という風に話の時間軸が交互になっていて、徐々に過去の話が現在に追いついてきます。

僕の中では新しい構成だったので、過去の話が物語冒頭に追いついたときは「そんなことがあったのか」と納得しましたね。

結婚とはお互いを大切にするもの

「啓太さんのこと大切にするから、啓太さんも私のこと大切にしてね」

千草は婚姻の手続きの際にそんなことを言った。

良いことなのか悪いことなのかは分からない。ただ、僕はこの関係に憧れてしまった。

好きでいる必要はない。相手のことを大切にしていれば。

寂しさを埋めるためならば最高の関係な気がする。

同時に諦めの言葉とも取れてしまう。ポジティブな言葉のはずなのに悲しさが垣間見えてしまうセリフ。

頑張れない人の存在

この世界にはどうしても頑張れない人たちがいる。僕もその一人です。

社会では邪魔者扱いをされてしまいます。

ひきこもりの兄

読者でひきこもりの弘樹に感情移入する人はどのくらいいるのだろう。大多数の目には憎く映るのでは?

僕はあろうことか、かわいそうだと思ってしまった。似ていたから、僕と。

何も持っていない、行動することもできない、自分に嫌気がさす。

分かっているならば行動しろと周りは言うができない。生まれてきたことに意味を見出せない。

この世界を憎むことしかできない。

そんな気持ちなのだろうと分かってしまい自己嫌悪に陥る部分があった。

仕事ができない坂巻

もう一人のダメ人間として啓太のはたらく職場の中年の坂巻という人物が登場してきた。

  • マニュアルを覚えようとしない
  • 常に他力本願
  • 構ってくれなくなったら仕事を放棄

働いている人、特にチームプレー色が強い仕事をしている人にはイライラする存在だったんじゃないかなと。

中には自分の職場を見ているようだと思う人もいるんじゃないでしょうか?

ただ、啓太には違う視点で映ったと思います。なぜなら、兄と重なるから。

兄は家から出なかった。だけど、働いていたら坂巻のようになるのだろうという気持ちがあったから、啓太は知らずのうちに坂巻を更生させようと努力していたのかもしれない。

家族の責任

「ああいう人の家族についてはどう思う?」

「そんなの家族も悪いに決まってるじゃないですか。他人に迷惑かけてる時点で。家族なら責任もって世話しろよって感じです」

「色んな人がそう思っていいるだろうね」

坂巻のことについて啓太と話しているときの白井のセリフ。

どうですか?これに関しては人によって意見が異なるところがあると思います。

啓太の家族に当てはめて考えてみましょう。母は兄、弘樹のことを溺愛していて解決策を見出そうとしません。啓太はなんとかして外に出そうと説得する場面はありましたが、結局のところ対立してしまいました。

では、啓太はどうすればよかったのか?僕はまだこれに対しての答えを出すことができずにいます。

一概に家族の責任とは言えないんじゃないかなと。

結末の賛否

いろんな方の感想記事を見ているとやはり結末に納得のいかない人が少なからずいるかなという気がしました。

確かに最後の数ページでこの「ひきこもりの弟だった」という作品の見方が大きく変わると思います。

読者の理想としては啓太と千草がお互いの本心を打ち明かして、本当の意味で夫婦生活を始めるというものでしょう。

ただ、啓太と千草の2人にとっての理想はそこではなかった。

本当の意味で人を好きになり子どもが欲しい、家族が欲しいと本心で思えること。

なので、僕はこの物語の結末はこれ以外にはあり得ないのではないかなと思ってます。

最後までとてもいい関係だっただけに別れるという決断は前に進むという意味があるのが分かっていても悲しいものがありましたね。

冒頭で推薦文を担当した三秋縋さんについて少し触れましたが、この方の作品と作風が似ています気がします。

ただ、大きく違うのは終盤。特にラストかな。

三秋縋さんなら啓太と千草を決して離したりしなかったと思います。

あくまで勝手な自論ですが。

結末に納得できない!と思った人には意外と三秋縋さんの作風にどハマりするかもしれません(*´艸`)

「三日間の幸福」がまさにその代表例かもしれません。

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僕のイチ押しはやはり「恋する寄生虫」ですね。

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番外編を見逃さないで

僕が最初に読み終えたときは圧倒的な読後感で何も考えることができませんでした。

数分、数十分は放心状態だった気がします。

僕と似たような感想を持った方もいらっしゃるんじゃないでしょうか?

ただ、本編を読んだだけでは終わって欲しくない!

番外編があるんです。しかも2つも。

まだ読んでいないという方は今すぐ読んでみてください。僕は正直いうと番外編の方が心が締め付けられましたよ。

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ひきこもりの兄だった

どこで間違えたんだろう。そもそも弘樹は間違えたのか?

そんな感想を抱かずにはいられませんでした。

視点が変わるだけで物語は全然違う色になりますね。

兄から弟に対する愛が伝わってきました。

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千草side

千草と啓太が出会うまでのお話でした。

千草、弘樹、啓太、この3人の人格形成に大きく関わっているのは親ですかね。

僕はきっと恵まれている側かなって思ってしまいます。

啓太と別れてからのその後が描かれていないので気になるところ。

千草には心から幸せになって欲しい。

そんな思いがいっそう強くなるような番外編でした。

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タイトルをもう一回考えてみる

「ひきこもりの弟だった」

読み終わってからもう1度タイトルを見て、2つの意味で捉えられるんじゃないかなという考えが出てきました。

1つはそのままひきこもりの兄を持った弟だったという意味。

ここでのひきこもりは兄、弘樹を指します。

もう1つはひきこもっている弟だったという意味。

こちらではひきこもりなのは弟、啓太です。

啓太は子どもを持つことを恐れて性交渉をすることができませんでした。

自分には子どもを作って逃げた父と兄を溺愛し事態の解決を放棄した母の血が流れている。そして何より生まれてきた子どもが兄のようなひきこもりになったらどうすれば良いのか。

そんな思いを抱え啓太は心にひきこもっていたんじゃないかと思います。

心揺らぐ作品

まるで、自分の価値観を試されているような感覚になりましたね。

絶対に忘れることのない、忘れられない作品です。

出会えたことに感謝。

まとめ

幸せに溺れるくらいに世の中を幸せで満たしたい(*´艸`)

 

最後まで読んでくれてありがとね。Ash(アッシュ)@obrerublogでした。

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