「君の話」三秋縋 感想 嘘の記憶だったとしても…

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BOOKS

こんにちは‼︎Ash(アッシュ)です。

この日は丁度、台風が日本に上陸していた。

僕は名古屋鉄道、名鉄に乗っていた。

目的地はない。

台風の影響でいつ電車が止まるかわからない。強風で徐行運転になる。止まりそう。あ、止まった。動き始めた。

一体どこまでいけるのか。家には帰れるのか。

まるで、ギャンブルをしているようで、心が躍る。

今回は、その電車の中で読んでいた「君の話」という小説をご紹介します。

「君の話」って、どんな話?

記憶を上書きできたり、消したりできる義憶というものが存在する世界。千尋は幼馴染みの灯火がいたという義憶を持つことに。

何も持っていなかった人の、空っぽだった人の物語。

はい、未読の方〜‼︎あらすじはこれだけ知っていれば十分過ぎるので、読んでください。

一気読みできます。僕は購入したその日に読み終えました。

どっぷり三秋ワールドに溺れてください‼︎

感想: 辛くて、切なくて、優しい

ここから、感想に入ります。ネタバレは少なめを意識しています。

前半は安定した苦しさ

三秋さんの描く作品には必ずと言っていいほど、登場人物が社会に適応することができず、不幸な環境にいます。

そのため、読んでいて苦しい描写が前半は続きます。

僕は単純なので千尋の記憶に種明かしのカギがあるのではないかと予想していたのですが、浅はかでした。

灯火の人生を全く考えていませんでした。

三秋さんの作品をいくつも読んでいるのにまだわかっていなかったのです。そんな、やさしい話は今までにもなかった。もっと苦しみ、辛さ、絶望が何層にも重なった連なる話だと。

後半は辛すぎる種明かし

後半に入り、いよいよ種明かしとなるのですが、ここからがさらに辛い…

灯火がどんな子どもだったか、どんな青春時代を送ってきたのか、どんな思いを抱いてきたのか。

そして、千尋と灯火の出会いにはどんな意味があったのか。

次々と明らかになっていき、千尋は真実を知ります。

たった一度でいいから誰かに褒めてほしかった。労ってほしかった。哀れんでほしかった。小さな子供を相手にするように、無条件にすべてを受け入れて、優しく包み込んでほしかった。私の孤独を百パーセント理解してくれる百パーセントの男の子に百パーセントの愛を注がれてみたかった。そうして嘆き悲しみ、一生消えない傷として心に刻みつけてほしかった。私を至らしめた病を憎み、私に優しくなかった人々を恨み、私のいない世界を呪ってほしかった。

君の話 三秋縋 早川書房 本文より

あまりに救われなさすぎる。

読んでいると、いつこの2人は救われるのか?本当に救われるのか?そんな疑問がなかなか消えてくれません。

最後は一般的に言うならば、バッドエンドでしょう。しかし、2人にとってはこれ以上ないハッピーエンドだったのかもしれません。

そう考えれば、2人は救われたと言えるでしょう。

三秋さんは本当にこういう物語が大好きなんですね。

そして僕も大好きです(*´艸`)

2度おいしいストーリー

作品を読み終えて、このすばらしい余韻に永遠に浸っていたいという感情と、この結末を知ったうえで最初から読みたいという感情が頭の中で争っていました。

物語が始まったとき、物語はすでに終わっていたんだという言葉の正体が謎が謎を呼ぶ前半部分を涙が止まらない涙腺崩壊展開へと変えてしまいます。

この気持ちは、一度最後まで読んだ方には絶対に理解してもらえると思います。

義憶について、どう思う?

この作品の軸となっている。現実世界では起こらなかった偽の記憶、義憶。

もしも、この世界に存在するとしたらあなたは義憶が欲しいですか?

恵まれている人は義憶は使わない

全てが完璧ではなくても家族と呼べる人がいる、友達と呼べる人たちがいる、今、フツーに生きている。これは恵まれている人です。

そういった人が義憶を持ったとします。

一時的には幸福度は高まり、人生の欠陥を埋めてくれたと思うでしょう。

しかし、存在し得なかった過去に浸ったあと、現実に目を向けたときどうですか?

虚しくなりませんか?耐えられますか?

人生が空っぽの人は義憶を使う

作中の2人のような現実に目を向けたときに何もない、空っぽの人は義憶を使うかもしれません。

何もない、そういう時に人は何かに縋るのではないか。

そして、それが義憶なのではないか。

そんな人たちのためにあるような気がしました。

僕には使う勇気はありません。

まとめ

次回作にも超絶期待をして、待っています(*´艸`)

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