【小説】罪は太陽のせい?不条理を描く『異邦人』カミュ 感想レビュー

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小説 異邦人/カミュ

こんにちは!

建築学生ブロガー、あっしゅ@oborerublogです。

価値観を大きく揺さぶられる一冊に出会ってしまいました。

  • 不条理を深く考えるようになる
  • 幸福の定義の再確認をする
  • 世界との差異を感じている人ほど刺さる
  • 文体に特徴があるため、読みづらさを感じる

海外の作品を翻訳したものなので、正直読みにくいです。

ただ、それ以上に受けた衝撃が大きすぎたのでこの気持ちを共有したいと思います。

ネタバレあります。ご容赦ください。

あらすじ:カミュ『異邦人』

裁判

作品は二部構成です。

罪を犯すまでの第一部と裁かれるまでの第二部。

ざっくりあらすじはこんな感じ。

  1. 母の最期の
  2. 変わらぬ日常
  3. 人を亡き者に
  4. 下される判決
  5. 不条理の追求

ページ数は約150ページほどと多くありません。

文体に違和を感じなければ、意外とサクサク読み進められます。

ただ、読書をあまりしない初心者の方がいきなり読むものではないと思いました。

かなりクセのある作品です。

  • 常識に疑問を覚える
  • 社会との乖離を感じる
  • 価値観を揺さぶる本を求めている

こんな思考を日常から巡らせている方には超オススメ!

自分のこと社会不適合だと感じている人ほど、共感できる部分は多いのかもしれません。

男の不条理を描いた一作。

非人間的な主人公:ムルソー

なんといっても魅力的なのは主人公:ムルソーの異質性。

  1. 当事者意識の低さ
  2. 罪の動機を太陽とする思考

特にこの二つは読後もずっと印象に残っています。

当事者意識の低さ

英語 暇

ムルソーの心理や行動はかなり異質です。

序盤は淡々と話が進んでいきますが、その中でも時折「何か変だな…」と疑問を抱く瞬間があります。

そして、ムルソーの人間性がはっきりと露呈したのがマリィとの婚約についての会話。

夕方、マリィが誘いに来ると、自分と結婚したいかと尋ねた。私は、それはどっちでもいいことだが、マリィの方でそう望むのなら、結婚してもいいといった。すると、あなたは私を愛しているか、ときいてきた。前に一ぺんいったとおり、それには何の意味もないが、おそらく君は愛していないだろう、と答えた。

結婚は多くの人の一生において重要度の高い選択の一つ。

それをどっちでもいいと言える人は世界にどのくらいいるのだろう?

僕も恋愛だったり結婚に対する意識は低いので批判する立場にはないと思いますが、相手が結婚を意識しているのを知りながら自分が愛しているかどうかには何の意味もないと断言するのは冷酷とも受け取れてしまいます。

スタンダードな考えとは言えません。

愛していないが、求婚されたら承諾するという。

相手のことを軽視しているのかと疑問が出るところですが、見下したり優劣をつけている様子はない。

また別の女性がムルソーに求婚されたらという質問をマリィはしています。

同じような申し込みをして来たら、あなたは承諾するか、とだけ聞いてきた。「もちろんさ」と私は答えた。

迷いのない異常ともとれる返答でしたが、そこに誠実さを感じてしまいました。

善悪については議論の余地があると思いますがね。

良くも悪くも真っすぐ。

嘘を吐いたり誤魔化したりしない人だということが伝わってきます。

あまりにも不思議人間すぎて、理解できないところばかり。

ですが、だからこそマリィはそんなムルソーのことが魅力的に感じているのかもしれません。

常に受動的なムルソー。

罪は太陽のせい

太陽

人を亡き者にしてしまう瞬間。

その気持ちを味わうことは一生来ないと確信しています。

多くの人が同じ心理だと思いますが、僕は理解してみたいとも思っています。

だから、犯行動機なんかを注視してニュースも見たりするのですが、ムルソーに関しては全く分かりませんでした。

一どきに脈打っていた。焼けつくような光に耐えかねて、私は一歩前に踏み出した。私はそれがばかげたことだと知っていたし、一歩体をうつしたとことで、太陽からのがれられないことも、わかっていた。

犯行前には太陽によって行動が決定されいる?と感じる心理描写があります。

ムルソー自身、睡眠欲などの肉体的欲求を優先しやすいという発言をしていました。

だからといって、太陽が眩しく暑いからという理由での犯行が許されるはずもありません。

この辺りは何度も読み返して理解を深めていきたいと思います。

動機は自然のせい。

作品における『異邦人』とは?

異邦人の一般的な意味をおさらいします。

  1. 外国人
  2. 異教徒
  3. 別の社会から来た人

ざっとまとめるとこんな感じ。

どの考え方でもこの作品では意味として当てはまると思います。

ただ、ムルソーに一番適しているのは最後の『別の社会から来た人』だと結論づけました。

社会というよりは世界といった方が正しいかもしれません。

周りとは違う思考、社会に適合できていない、世界との乖離を感じる。

そういった表現がムルソーをよく表してる気がします。

自分の価値観が受け入れられない『異邦人』。

まとめ

校閲

僕の低能な頭では十分に理解することができなかった気がします。

気軽に読んでみたら、とんでもなく度肝抜かれる作品で新しい価値観を植え付けられました。

  • 社会からの疎外感
  • 世界への違和感
  • 人々との価値観の乖離

こんな気持ちを抱いている人にとっては『異邦人』という作品がとても腑に落ちるものなのかもしれません。

宗教や歴史などの時代背景なんかを学習すると、もしかしたらさらにムルソーの心理に近づけるかもしれない。

常識的な一貫性はないけれど、常に一貫性を持った男の物語。

最後に

自分は異邦人か否か。

 

最後まで読んでくれてありがとね。

あっしゅ@oborerublogでした。

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