僕だって砂漠に雪を降らせたい。『砂漠』伊坂幸太郎 感想・評価

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こんにちは!

灰色の大学生活を送るAsh(アッシュ)@oborerublogです。

また、素晴らしい一冊に出会ってしまいました。

伊坂幸太郎さんの『砂漠』についてご紹介。

  • 大学生活の真っ只中の人
  • 大学を懐かしいと思う人
  • あの頃に戻りたいななんて思う人
そんな人たちに超絶おススメです。僕の人生の一冊になりました。

多少のネタバレはご容赦ください。

『砂漠』とは?

 

あらすじ

舞台は仙台。麻雀を通して仲良くなった5人の特別ではないけれどフツーとは言えない大学生活を描いた物語です。

その軸となる5人はこんな感じ。

  • 北村:本作の語り手。いつも合理的で冷めている。
  • 鳥井:軽薄で女好き。いろんなことの言い出しっぺ。
  • 西嶋:極端に熱く誰よりもまっすぐな変人。
  • 東堂:大学一の美少女。交際を申し込み撃沈した学生は数知れず。
  • 南:シャイな超能力者。そこに陽だまりがあるような優しさを持つ。

短くまとめると全然よく分かりませんね。

ただ、最初に受ける印象と読み終わったときに映る姿は結構変わると思います。大学生ですからね、それぞれ成長が見られます。

構成としてはボウリング対決の春、空き巣事件の夏、超能力者対決の秋、事件解決の冬となんています。

 

伊坂作品にはもう出会っていた

僕は伊坂幸太郎さんの作品は他に持っておらず、初めてだと思っていました。

確かに小説としては初めてだったのですが、『魔王 JUVENILE REMIX』という漫画で本棚に並んでいました。

10巻完結でまとまっていて読みやすく買って後悔はまずしないでしょう。

読み終わってみると、あー似てるかもという印象を受けます。

こちらも面白かったのでぜひ読んでみてください。

 

砂漠に雪を降らす

砂漠に雪を降らせる

『砂漠』というフレーズは以外にも序盤に出てきます。

己の道を貫く西嶋のセリフから。

「その気になればね、砂漠に雪を降らすことだって、余裕でできるんですよ」

雨が降ることすら珍しい砂漠に雪を降らすのは普通に考えたら無理に決まっている。

でも、西嶋は自分たちが本気になって行動すれば砂漠に雪を降らすような変化だって起こせるという。

自己紹介でこんなことを言える人ってあなたの周りにいますか?

僕の周りにはいません。

西嶋みたいな友達が欲しいですね。

 

もう一つ中盤で『砂漠』というフレーズが出てきます。

アパレル定員の鳩麦さんのセリフから。

「学生は、小さな町に守られているんだよ。町の外には一面、砂漠が広がっているのに、守られた街の中で暮らしいる」

ここでいう砂漠というのは社会のこと。

大学生はある程度の自由を手に入れているけれど社会には出ていない。

つまり、安全なところで身を置いているっ状態。

僕も今、大学生なので町の中で守られているということなんでしょう。

社会という砂漠に出てからもう一度読んでみたい。

 

なんてことは、まるでない

鳥井が大学生は主に2つに分類できるといっていましたよね。

  • 近視眼型:目の前のことしか見えないタイプ。
  • 鳥瞰型:全体のことを見下しているタイプ。

大学生ってほとんどは近視眼型なんじゃないですかね。とりあえず、今楽しければいいみたいな。

学生の人は自分はどっちだと思いますか?社会人の方は学生の頃を思い返すとどっちでしたか?

僕は全体のことを見ているようで何も見えていない鳥瞰型ですかね。

最初、北村は鳥井に鳥瞰型だと決めつけられていましたが、後半になるにつれて自分から積極的に行動したりしてどんどん変わっていきました。

なんてことは、まるでない

こんなフレーズが何度か出てきましたが意味合いが終盤になるにつれて諦めのように使っていた北村も最後には希望を持った言い回しに聞こえてきます。

学生の物語の何がいいかと言ったら、やっぱり個人の成長が顕著に表れるところですよね。

 

人間にとって最大の贅沢

サン=デグジュベリの引用で卒業式に学長が発言していました。

贅沢というと煩悩まみれの僕はお金がまず頭に浮かんでしまうのですが、本質はそういうことではないんです。

人生を豊かにするには周りの人間に恵まれていること。

彼らは最大の贅沢を手に入れていましたね。

僕もそんな贅沢ができる人生を送りたいものです。

 

最後に気づく、とある仕掛け

時系列の仕掛け

構成が春夏秋冬と続いているので、読み進めていく中で自然と一年間の物語と思ってしまったんではないでしょうか?

しかし、最後の春を見てみると卒業式でした。

あぁ四年間のことだったのか。

まんまと罠にはまってしまいました。

  • 鳥井がキックボクシングの練習を一年半していた
  • 東堂と西嶋のクリスマスに対して時間がかかったと発言

このようにあったので勘のいい方は気づいたかもしれませんね。

ちなみに僕は卒業式のところまで全く気づきませんでした。

 

『恋する寄生虫』の地位が脅かされる

『砂漠』を読み終わった後は満足感しかありませんでした。

僕にとって最高の小説は『恋する寄生虫』という三秋縋さんの作品なのですが、『砂漠』はこれに匹敵し得る小説なんじゃないかと思ってしまうほどでした。

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爽やかな読後感、それが『砂漠』という作品の最大の特徴でしょう。

すべてが順風満帆ではなかったけれど彼らは胸を張って大学生活が最高だったと言えるような気がします。

砂漠という名の社会に出て、その荒波にのまれそうになっているときにもう一度この作品を読んでみたい。

そんな物語でした。

 

まとめ

砂漠に行ってみたいな。

 

最後まで読んでくれてありがとね。Ash(アッシュ)@oborerublogでした。

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